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いつも、君はそこにいる。
今日も、君はそこにいた。
授業中の、晴れた屋上。
いつもの、風景。毎日の、光景。
でも、今日はどこか違っていた。
○。ハーモニカ。○
階段を上りきって、屋上へと足を踏み入れる。
俺の足音を聞いて、君はいつも
「また、来たの。」とか、
「授業、受けないの。」
とか無表情で言うのに。
今日は、ずっと体育座りをしたまま、顔を上げようとしない。
ていうか、ここはもともと俺の場所だったんですけど。
2ヶ月前、いつものようにここに来たら先客がいた。
それが彼女だった。
それからというもの、俺がここに来ると必ずこいつがいて、
「また、君。」
とか言いやがるんだ。
俺の場所は、いつの間にか彼女の場所にもなっていた。
「・・・・・寝てんのか?」
俺はそう尋ねたが、返事はない。
どかっ、と彼女の横に座る。
「寝てると、襲っちまうぞ〜。」
いつもなら、
「うるさいわね、近寄らないで。」
なんて言うのに、
やっぱり黙っていた。
「・・・・・・・寝て、ねぇだろ?」
そう言って髪に触れた瞬間、
「触らないでよ!!どっか行って!!」
彼女は顔を上げて俺を怒鳴りつけた。
こっちを睨みつけている、その目には涙。
「1人に、してよ・・・」
そう言ってまた顔を伏せる。
「・・・・やだ。」
「はぁ・・・?」
「やだっつってんの。」
「嫌な人・・・・」
「お互い様だろ。」
「もう、なんなのよ!!!ウザったいわね!!!」
「お〜キレたキレた。」
その、涙が乾いた目で、ちょっと驚いた目で僕を見る。
「お前、いつもより怒ってる方がまだかわいいぞ?」
「は、はぁ?」
「すましてるとかわいくないっつってんの。」
「余計なお世話だわ。」
「あー、そうですか。」
少し沈黙が続いた。
なんだか耐え切れなくなって、俺はポケットからハーモニカを取り出した。
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