TextAD
無料
-
出会い
-
花
-
キャッシング
屋上まで来て後ろを振り返ると、何故かハルの姿がなかった。
「さすがにハルも呆れたか。」
そりゃあ呆れられても仕方がない。
俺達インディーズが一般の人を怒鳴りつけるということは、人気の大幅ダウンに繋がるということだからだ。
でも、そんなのバカバカしい。
ポケットから煙草を取り出し、火をつけようとしたらふとハルの顔が浮かんだ。
いつも俺が煙草を吸おうとすると、”もー!!体に悪いからやめなよユキ!!お前に倒れられたら俺困るんだから!”
と止めてくるハルの顔が。
なんでこんなときまで出てくんだ。
悔しくて煙草に火をつけると、ハルの顔が消えていった。
「・・・あ・・・・ハル・・・・?!」
俺何してんだろう。
「こらっ!!お前は何度言ったらわかんだ!!」
男にしてはちょっと高い声が聞こえた。
ハルの声。
「ハ・・・」
「ユキー!!まーた煙草なんか吸ってぇ!!!ダメってゆってるのに!!」
あぁよかった。
消えてなくて。
「うるせぇっ。どこ行ってたんだよ。」
「どこって!!ユキがジュース買うの忘れてたからあの地獄行列に並んで買ってきたんだよ!!!!」
本当だ。
いつも買うはずのジュースを買い忘れている。
「はい!いちごオレでいいんだべ?!」
ハルは笑っていちごオレを差し出してきた。
「・・・さんきゅ。」
ちょっとだけ恥ずかしくて、小声でそう言った。
「ふふふ〜!ユキかわいいっ!!!」
「は、はぁっ?!!!」
「照れてやんのー!!」
「照れるかアホ!!!」
いつもいつも。
本当に、おせっかいなヤツだ。
NEXT→
[PR]
動画